現代のパートでは優希の家が火事となり、優希の母が殺され、優希の弟が逃走と大きく物語が動き始め、この事件をきっかけに笙一郎と梁平の絆にもすれちがいが見え始めてきて先の展開が気になりどんどん引き込まれます。
また梁平の微妙な心理描写の描き方は本当に上手いと思います。
過去のパートではこの巻の最後に、三人が入院する前どのような仕打ちを受けてきたかをそれぞれが告白します。
かなりの覚悟を決めて読んだのですが、それでもやはり読むのは辛かったです。なぜ人間ってこんなことをする生き物なんだろう、と思わずにいられませんでした。
印象的なのは過去のパートで優希と面会に来た母親の会話のシーン。ここまで登場人物に対しイライラしたのは初めてかもしれません。それとともに優希があまりにもいたたまれなくて大きく感情が揺さぶられました。
三巻を読み終えた時点でのレビューですが、この三人に何か少しでも救いのあるラストになってほしい、と思わずにはいられません。
第53回日本推理作家協会賞
2000年版このミステリーがすごい!1位
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文芸・文学・群像劇
- 感想投稿日 : 2011年11月17日
- 読了日 : 2011年11月17日
- 本棚登録日 : 2011年11月13日
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