青空文庫より
重い病に侵された妻に寄り添う夫の日々を描いた小説。
語り口の巧さと自然描写の美しさがものすごく印象的な作品です。読んでいてこれぞまさに”文学”だなあ、という印象を受けました。
悲恋のストーリーでありながらも、そうした悲劇的な語りはどちらかというと抑えられていて、ただひたすらに自然の美しさ、そして妻の節子との穏やかな日常、そして幸福感を描こうとしている印象があります。しかしそれがどこか無理をしているようにも感じられて、そのため行間やふとした場面から語られる夫の不安や悲しみ、そして今の幸せの儚さというものががより引き立てられているように感じました。
そうした儚い美しさが作品全編に漂っているからか、永遠に読んでいられるようなそんな気がしました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文芸・文学・群像劇
- 感想投稿日 : 2015年9月28日
- 読了日 : 2015年9月26日
- 本棚登録日 : 2015年9月22日
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