増補 スペースシャトルの落日 (ちくま文庫 ま 38-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (2010年3月12日発売)
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感想 : 15

 スペースシャトルと言えば先端技術の塊というイメージだが、純粋に技術的見地から評価すると必ずしも最適な設計ではなかったと言うのが著者の指摘だ。ではなぜ純粋に技術的見地から設計されなかったのか。要約すれば政治経済の介入だ。

 アメリカという民主主義国の国家予算で作られるのだから、政治経済と無関係でいられないのは仕方ないだろう。しかし、そのために事実が歪められ世界的に流布されて神話が形成され、さらには諸外国の技術者に大きな勘違いをさせてしまったとなると、罪は軽くない。

 同情の余地はあると思う。しかしながら、繰り返されて良い愚行ではない。だが残念ながら、繰り返されないと信じられるほどには教訓が生かされていない。たぶん、まだ同じ失敗は繰り返されるだろう。残念ながら。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年6月18日
読了日 : 2010年12月30日
本棚登録日 : 2017年6月18日

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