01「産業革命以来、欧米はアジアとアフリカに対して圧倒的に強い経済力を誇ってきた。しかし、今では、アジアとアフリカが急速に追い上げており、地域間の格差は縮まりつつある。」
02「古代から急激な人口増だった世界は、20世紀半ばから急激な人口減少期に入った。21世紀末には、アフリカ大陸だけが微増し、全体的には増加率が0パーセント水準になると予測されている。」
03「1人当たりGDP成長率は、人口増加を後追いする形で、19世紀半ばから上昇しはじめた。しかし、ピーク期はもう過ぎつつある。21世紀末には、1%程度まで下がると予測される。」
04「21世紀末、世界のGDP成長率は、1.5パーセント前後になると予測される。」
05「第一次・第二次世界大戦を機に、欧米の富裕国では、最大17パーセントの大きなインフレが起こった。1990年以降は、おおむね2パーセント前後になっている。」
06「二つの世界大戦と世界大恐慌の影響で、ヨーロッパの民間資本は、大きく減少したが、1970年代以降は増加している。」
07「アメリカでも、世界大恐慌と第二次世界大戦の影響で、民間資本が減少したが1970年代以降は増加している。」
08「19世紀後半からの推移を辿ると、世界の資本/所得比率については、U字曲線が描かれる。21世紀にはそれが700パーセント近くになると予測される。」
09「新興国の追い上げによって、21世紀末には、世界の民間資本の半分を、アジアが持つようになると予測される。」
10「1975年以降、富裕国では国民所得に占める資本所得に比率が上昇している。」
11「20世紀後半から21世紀初頭にかけては、特にアングロ・サクソン諸国で、所得格差が大きく拡大している。」
12「アジアや南米、アフリカ大陸などの新興国では、アングロ・サクソン諸国と同等の所得格差の拡大が見られる。」
13「欧米では、資本格差も少しずつ拡大している。」
14「資本収益率は、GDP成長率より大きい。この状況は今後ずっと続き、格差は、ますます広がると考えられている。」
15「所得税の累進課税率は、戦争や恐慌などの有事の際に引き上げられてきた。特に変動が激しいのは、アメリカとイギリスで、一時的には税率を釣り上げる一方、すぐに、大きく引き下げている。」
16「イギリス、アメリカでは、想像税の累進課税率も、急激に釣り上げられたのち、急激に引き下げられた。」
Part2「結局のところ、ピケティは何をいいたのか?」と題して、
1:ピケティが重要視して取り上げたのは、人口増加率やGDP成長率の推移などのいずれも格差の状況を垣間見る事ができるデータである。また、r(資本収益率)>g(GDP成長率)は歴史的事実であり、かなりの確率で将来的にも続く傾向だと示す、いわば『補強証拠』」である。
2:「なぜ、r>gが格差拡大なのか?」は、gを労働所得の伸び率、資本収益率rを資本所得の伸び率と見なしているからであるとしている。
3:ピケティは累進性の強い税率こそが格差縮小の鍵とする。そのために国際協調のもと、すべての国で課税強化策を採用するべきだといっている。
4:「21世紀の資本」が画期的なところは、より幅広く、長い時系列のデータを地道に並べてみたことで、ピケティはノーベル賞を受賞したクズネッツの理論を覆してしまったことである。
Part3「『21世紀の資本』その先の可能性ーピケティからの返答集」と題して、「1:低賃金などの労働環境の問題について。2:都市と郊外の地域格差について。3:ジェンダー(性別)の格差について。4:累進課税の強化について。5:ピケティが読む今後の格差社会。」の5つを論じている。
最後に、「経済の事をよくわからないと言って済ましてしまうのは安易すぎる。他人任せにしてはいけない」と主張し、「個人個人が正しい知識をもって、社会について考えていくこと」が大事であるとしている。
そして、こうした「主体性」こそが、この格差社会を変えていく原動力になるとしている。
- 感想投稿日 : 2016年9月6日
- 読了日 : 2016年9月6日
- 本棚登録日 : 2016年9月6日
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