全部やれ。 日本テレビ えげつない勝ち方

著者 :
  • 文藝春秋 (2018年5月11日発売)
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感想 : 20
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奇しくも「平成」が終わる。まさに平成のテレビ史と言える本だ。
確かに日テレは今も強い。
視聴率三冠王以外にも、デジタル方面への攻めも他局と比較して積極的。
とにかく新しい事象に対して飛びつくのが早く、迷いがない。
そんな企業文化はいかにして生まれたのか?
日テレにとって、1980年代は負けの時代だった。
それを逆転させたのが1990年代。
まさに時代は平成。
「勝ちグセ」がついたと言えるだろうが、「えげつない勝ち方」をしてからの日テレは確かに強いのだ。
ただこの本を読めば読むほど、「特別なことをやった」という事実がないことが分かる。
当たり前のことを、当たり前に速やかに実行しただけ。
現場で思っている「正しい」事を、上が認めてやらせただけなのだ。
ただし「中途半端」でなく「徹底的に」やらせたのがポイントだ。
「徹底的にやる」これは絶対にトップの覚悟がないと実現しない。
今では普通になったが「またぎ編成」だって、当時前例がない事をやることは相当な抵抗があったハズだった。
説得&調整する先は多岐に渡り、その中のどこか一箇所でもNGが出れば実現不可。
そんな状況の中で「視聴率で勝ちたいのだ」「今のままでは負けなのだ」という強力な「現場の気持ち。トップの気持ち」が、すべてを打開して突き進んでいく。
結局は、社員含めて現場スタッフも関係者全員の気持ちが「日テレを視聴率で勝たせたい」ということで一丸になれたことが勝利の要因。
当たり前に聞こえるが、これがなかなかできないのだ。
どこかで「自分の利益」とか「自部署の利益」とか「スポンサーの利益」とか「タレントの利益」とかを優先させたら達成は出来なかった。
「視聴率を上げるのだ。そのためには、前例にない事も、覚悟を持ってやるのだ」
全員が一つの目標に向かって徹底的に行動することは本当に難しい。
しかしその先にしか勝利が無いとしたら?
言い訳はいくらでも出来る。
でもあえて言うとしたら「敗者に言う資格はない」なのだ。
我々は本気で勝とうとしているのか?
勝利へのこだわりを持つことの重要性を、今更ながらに説いている秀逸本だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年6月21日
読了日 : 2018年12月15日
本棚登録日 : 2020年6月21日

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