★粘着質対粘着質★主人公の奥崎謙三の、戦争を総括しようという粘り腰はすさまじい。皆が隠そうとすることを暴こうとする。面と向かって罵倒し、突然切れて殴りだす。近所にいたらとても迷惑だし、一線の越え方が常軌を逸ししているが、不器用ということだけはよく分かる。「白豚」「黒豚」と言って、「自分はやっていないが」と注釈を付けながら、何人もの元兵隊が戦地で人肉を食べていたことを話すのも衝撃だった。確かに昭和50年代にはまだ、傷痍軍人を街中で見かけた。戦争は遠い昔ではなかったんだ。これに付き合って映像にまとめた監督、カメラマンの辛抱強さもすさまじい。
しかしこんな人がどうやって生計を立てていたのだろう。いまやリチウムイオン電池で脚光を浴びるGSユアサだが、当時は町の中小のバッテリーや相手の商売で、奥崎が「YUASA」のジャンパーをずっと着ていたのが印象的だった。
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カテゴリ:
映画
- 感想投稿日 : 2011年10月7日
- 本棚登録日 : 2011年9月30日
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