4月、鳴り物入りで新人女性首相が誕生した。以前は弁護士として働いてはいたものの、経済のことには疎かった彼女、さくら子。今後首相としてどうすればいいのかわからず、困り果てて官邸の庭にある桜の樹の下のベンチで休もうとしたところ、見慣れない老人と出会う。彼こそはダルマと呼ばれ、大蔵大臣、そして第20代内閣総理大臣を務めた高橋是清、その人だった。
物語は二人の政治の話で進むものの、さくら子と是清との話の中盤にかけてまでは両者の話の食い違いで進んでいく。
例えばライオン宰相と言われて、さくら子は小泉純一郎、高橋是清は濱口雄幸のことを思い浮かべるなど。どちらも国民の人気が高かったということも同じで、こう考えると作中での2010年代と是清が生きた時代1900年代あたりは非常に似通っていたのではないだろうか。
二人は桜が咲いている時期、官邸内の桜の樹の下のベンチにて1年に一度だけ会うことができた。
感想としては、どうしてもっと早く読まなかったのだろう、ということ。
いや、今読んだからこそ理解できたのであろうか?もし若い頃に読んでいたら、これをただのつまらない経済小説として済ませていただろう。
そう言う意味では今読んで良かったと思える。
もっとも私に知識や興味があればなにも問題がなかったのだが。
もちろんこれだけを読んで知ったふりをしてはいけない。最後の是清からの手紙にもあるように
”将来の日本国民の皆さん、特に若い世代のみなさん、学問をしてください___ただ学校の教科書を雨天鵜呑みにしただけでは、わたっていけるものではありません。___”
と彼も言っているのだから。
- 感想投稿日 : 2022年7月11日
- 読了日 : 2022年5月22日
- 本棚登録日 : 2022年7月11日
みんなの感想をみる