ニッポン天才伝 知られざる発明・発見の父たち (朝日選書 829)

著者 :
  • 朝日新聞社 (2007年9月7日発売)
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明治、大正、昭和という3つの時代は激動の時代であった。いま以上に激動であった。
明治維新で江戸から明治に変わり、文明開化で西洋の科学を取り入れ、日清戦争・日露戦争を経験し、日本全体がどんどん変わっていった。変わらざるを得なかった。
そんな中、世界と戦う日本人の科学者がいた。
日本は遅れている。しかし、海外の文献を読み、海外に渡り、世界トップの知を吸収し、日本に持って帰る。
新興国の持つハングリー精神で、世界に誇る実績を打ち立てた科学者が少なからずいた。
ある人は小学校を2年で中退し、独学で金字塔を打ち立てた。またある人はマスコミに翻弄され、最期は不遇であった。数々の賞を総舐めにしながら、短命に終わった科学者もいた。
しかし、いずれの人も志は高く、気宇壮大に未開の荒野を切り拓く気概にあふれていた。
いま「理科離れ」と言われるが、それは子供に関してのことではない。大人こそが「理科離れ」なのだ。それは本書に登場した偉人が知られていないことが、物語っている。
いま「ロールモデルがない」と言われる。成熟社会を迎えた日本で、ロールモデルがいないなら、過去に遡れば良い。
こんなにも痛快な、そしてたくさんの啓発をくれるロールモデルとすべき人がたくさんいるではないか。
本書に登場した科学者の多くを私も知らなかった。
無知を恥じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: サイエンス
感想投稿日 : 2018年7月31日
読了日 : 2018年7月31日
本棚登録日 : 2017年2月24日

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