著者は京都大学を卒業して内閣府に入った秀才で、2011年より陸前高田市の副市長、2021年より掛川市長を務める政治家だ。本書は2012年の発刊。陸前高田市の副市長のときに書かれたものだが、市長ではなく副市長という肩書でこういった本を出版するのは珍しいのではないだろうか。露骨にいえば、どういう経緯で、またどういう目的で発刊されたのか分からない。
本書に「官僚は大きく分ければ政治家、自省庁、他省庁の三方に対して交渉を行う」とあり、官僚の特殊な交渉術から学ぶものがあるとは思っていなかったが、官僚の世界を垣間見ることはできた。
しかし、内部調整しかない官僚とは悲惨なものだと思った。政治家に説明し、ときにはその政治家も利用して財務省と交渉する。そこには最重要の顧客であるはずの国民はおらず、それは現場(顧客と接するところ)がないことを意味する。そして、現場を失った人の言葉は力を失う。その証拠に、本書は一体誰のために書かれたものかわからなかった。
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- 感想投稿日 : 2022年12月19日
- 読了日 : 2023年4月3日
- 本棚登録日 : 2022年12月19日
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