集団的自衛権とは何か (岩波新書 新赤版 1081)

著者 :
  • 岩波書店 (2007年7月20日発売)
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本棚登録 : 180
感想 : 21
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2014年の憲法解釈変更の時にはほとんど興味がなかったが、最近のトランプ発言(日米安保は不平等だから廃棄したい)を聞いて少し勉強してみたくなった。随分専門的な内容だが、素人にも十分理解できるよう懇切丁寧な解説で読みごたえあり。

安部やその取り巻きが説明する集団的自衛権のあり方が、まったくデタラメであることは本書から十分に伝わった。意図的に間違った情報を流して世論誘導したいのか、本当に理解できていないのかは知る由もないが、米国の日本防衛義務と基地の自由使用権はセットであることを日米両国の指導者層はどこまで認識しているのか?仮に米軍が日本から出て行けば日本も同程度の戦力を持つことを選択せざるを得ないが、それが米国の国益にかなうとはとても思えない。

唯一残念なのが最終章のオルタナティブの提案である。机上の空論を地で行くポエムである。日本にそんなことができるならアメリカの属国状態を自ら望んで選択したりはしない。日本には東アジア諸国を束ねていくだけの経験も実力も信頼も備わっていない。悔しい事ではあるが、吉田茂、小泉、安部の米国お追従路線しか採りようがないのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会時事
感想投稿日 : 2019年6月26日
読了日 : 2019年6月26日
本棚登録日 : 2019年6月22日

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