金糸雀が啼く夜 薬屋探偵妖綺談 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社 (2000年5月8日発売)
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本棚登録 : 771
感想 : 49

薬屋探偵シリーズの第4弾。今回はいつにもまして秋の登場が少ないです。リベザル君もいつもより少なめ…その代り座木が多め。というか、今回メインかもしれません。彼のたらしテクニックをとくと御覧あれ!(笑)  

 ひょんなことから花屋のカイを手伝うことになったリベザル。花屋の仕事を…ではない。実は彼の助手・イェンリィの声が出るきっかけとなりそうな青い宝石を盗む手伝いだった。しかも秋には内緒という条件つきだ。それを知って放っておけなかった座木は、自ら協力を買って出た・・・というのは表向きで実は、その宝石の展覧会の護衛を依頼されている秋と敵対することに興味をそそられていたのだった。
しかしすり替え盗み出した宝石は、既にニセモノと替えられたものと分かり、残された機会を求めて座木は持ち主主催のパーティに潜りこむ。
館のホールの下では煌びやかな階級の人種が華やかに語り合う中、それらを明るく照らし出す役割を担っていたシャンデリアが突然落下…2人の人間が下敷きになり死亡する事故が起きた。そして上を見上げれば…白い衣装に身を包んだパーティの主人の吊られた姿があった。
果たして事故なのか、殺人事件なのか。
そして騒ぎの中、姿を消した青い宝石はどこへいったのか?

今回の事件は陰惨さが薄くて助かるなぁ…。いえ、2冊目がけっこうすごかったから、つい…(胴体だけとかさー…)。シャンデリアの下敷きになった死体というのも想像すると悲惨ではありますが;
今回は前述の通り、座木メイン。大活躍です。さすが何でもそつなくこなす人…じゃない妖怪です。いつもの主人公リベザル君は何してるかというと、最初がんばった後はカイさんと親交を深めています(笑) 初登場のカイさんは花屋という職業に反して、なかなかの偉丈夫…ゴツイ方&毒舌吐きの中国産妖怪。そんな方と素直でかわいいリベザル君とでは上手くいくわけない…と思いきや、結構大丈夫だったりしてますね。さすがリベザル君!癒し系だ!うちにも来て!(本気)
高遠&葉山の刑事コンビも登場していて(しかも葉山は柄にもなく悩んでる…若いねぇ!)、私はすごく楽しんで読めたんですが。
秋Fanには少し物足りないかもしれないなぁ…。相変らず最強&いいとこどりな秋はおいしいんですが(笑)

事件の結末は案外とあっけない感じがありますが、その後の宝石の行方、そして宝石とイェンリィの関係が語られるシーンはなんだか別な話を読んでいるようでとても好きです。
唐突感が少しありますが、数百年前の時の流れを宝石が語っているかのようで…。こういうのもイイのじゃないかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 高里 椎奈
感想投稿日 : 2012年6月10日
読了日 : 2006年11月23日
本棚登録日 : 2012年6月10日

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