小さいおうち [DVD]

監督 : 山田洋次 
出演 : 松たか子  黒木華  片岡孝太郎 
  • 松竹
3.62
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本棚登録 : 788
感想 : 173
5

当時原作を読んだときの感想はこちら:
http://booklog.jp/users/fumix/archives/1/4163292306
正直、当時どんな感想を残したのかすっかり忘れていた。
観終わって、改めて前に記したものを読み返したら、
やっぱり同じことを思っていた。
それくらい、この作品の印象が大きかったのを思い出している。

「山本五十六」以来、私たちが学び、そう思っていた「戦争」までの日々の印象が、
根底から変わる作品のひとつ。
「戦争」は決して突然始まったわけではなく、むしろ昭和の初めは豊かで、希望があり、
人々は今と変わらない様子で生活していたことを、この作品で知ることになります。
この物語は、あくまで女中として仕えた主人公タキが、奉公した先で起こる、ちょっとした
人間模様の回想なんだけど、そこに「戦争」という重く時代を左右する出来事がひたひたと近づいてくる様子がたまらなく、
戦中戦後を経て、生涯を通じてその秘密を背負い、生きてきたタキの姿。
ラストの妻夫木くんの台詞と、晩年のタキを演じる倍賞千恵子さんの背中に、どうしても涙が堪えられませんでした。

昨年観た「東京家族」が、自分にとっては本当に感動的で、自分の中で歴代に残る作品くらいの印象だったので、
この作品がまた同じ山田洋次監督と知り、映画化が決まった時点ですごく気になっていた作品。
決して派手さはないし、若い人にはとっつきにくいかもしれないけど、出演陣は間違いなく、去年観た「東京家族」組が
また違った形で登場しているのが、私にはなじみやすくて印象的だった。
おっと、ここでも橋爪功氏。今回も吉行和子さんが奥様ですか(今回はお元気そうで何より)
板倉さんの役が吉岡くんだということは知ってたけど、まさか蛍も出てくると思ってなかったのでちょっと得した気分。
ほんとにちょっとだけだったけど。
去年「終戦のエンペラー」でとっても印象的だった片岡孝太郎(「こうたろう」と書いて「かたたろう」らしい。最近一発で名前が読めないのが自分に腹立たしい。)氏。昭和がとってもお似合いだと思った。古風と言うより、古きよき昭和の品格がある感じ。

この作品を観ようと思ったのは他でもない、黒木華ちゃん(「はな」と書いて「はる」だと知って驚いたのは年末に観た舞台「semier」にて)が、若き日のタキを演じると知って。「東京オアシス」以来、とっても気になる役者さんだったので、この作品を観る前に舞台を拝見して、ますますその演技が気になる存在。初めの頃は蒼井優ちゃんに似ているなーと思っていたけど、今は唯一無二な存在です。ドラマ版「まほろ~」や「舟を編む」は全然違うキャラで、ほんとに幅が広くて、これからどれだけ引き出しが増えるんだろう。
関西出身なはずなのに、東北訛りも上手で、吉岡くんと東北弁で話すシーンは、なぜか胸熱。きっと自分も北海道出身だからだろうか。

華ちゃんもさることながら、松ちゃんが秀逸で、それにしてもこのふたりは本当に声がよくて、
それだけでも気持ちがいいんだけど、華ちゃんはまだ若いのにほんとに実力派で、しかも松ちゃんが抜群の安定感だから、
最後まで物語に引き込まれたまま観ることができた。
晩年のタキを演じる倍賞千恵子はどうなんだろう・・・って思っていたけど、不思議なものでタキに見えるあたりがやはり役者さんなんだろうなあ。
妻夫木くんは現代の子らしく、でも優しいよなーって。
「東京家族」のときの印象でついつい観ている自分がいた。
そういえばあのときの彼女役は蒼井優ちゃんだけど、かといってあの役を黒木華ちゃんかと言われたら、やっぱりあれは
蒼井優ちゃんなんだよなあ・・・。

ラストは映画で観たほうがすとんと胸に落ちた。
板倉が描いた絵など。

余談だが、昭和の雰囲気がほんとによくて、個人的にはカルピスの紙包みが印象的。
こまかいところまで、丁寧に作られている印象。

http://onionmovie.jugem.jp/

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 劇場映画
感想投稿日 : 2014年5月16日
読了日 : 2014年2月1日
本棚登録日 : 2014年5月16日

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