観覧車 (祥伝社文庫 し 10-7)

著者 :
  • 祥伝社 (2005年6月1日発売)
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本棚登録 : 668
感想 : 100
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結婚して一年、夫が姿を消した。その帰りを信じて、

探偵だった夫の後を継いだ下澤唯。夫を待つ唯が遭遇する、

さまざまな男女の切ない恋愛模様。



愛しい人が突然、目の前からいなくなっとしたら…。

ただただ、待ち続けるだろうか。それとも、
いい加減のところで諦め、人生を切り替えて
生きていくのだろうか。

唯は待つことを選んだ。
それは、今でも彼を愛しているから。

夫の居場所を守るように、探偵という仕事を継いだ。
そうして、いつのまにか、十年が過ぎようとしている。

傷、悲しみ…、ハードボイルドの要素が詰まった作品だ。

ぶきっちょな男女が巻き起こす出来事。

その中を、唯は彼らの影響を受けながら進んでいく。

表題作の「観覧車」ほか、6編の男女に絡む物語。


桜と死体の取り合わせは、昔から小説の題材として
見かける。

その中でも、「観覧車」の美しさは心に迫った。

この取り合わせがすぐさま、心に美しい映像として
鮮やかに浮かび上がる。

その美しさは、もろく、はかなく、幻影のようだ。

蓋を開ければ、男と女のどろどろとした感情のもつれや
醜さが事実として隠されているのだが、
登場人物たちが交わす京ことばとあいまって、
柔らかい恋物語に仕上がっている。


夫の行方と、失踪の訳は、
続編「回転木馬」へと引き継がれる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ハードボイルド
感想投稿日 : 2018年5月24日
読了日 : -
本棚登録日 : 2018年5月24日

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