世界システム論講義: ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫 カ 39-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (2016年1月7日発売)
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世界システム論講義

世界システム論について初めて読んだ本。
シヴィライゼーション界隈の人とかがたまにウォーラーステインとかの名前を出すので気になっていた。
放送大学のテキストだったらしい。

世界システム論は、世界史を個別の国単位の総合として捉えるのではなく、世界全体を1つのシステムとして捉える見方を言う。
16世紀に西欧で成立したため、「西欧システム論」と言い換えてもいいかもしれない。
世界システム論によれば、南北格差の問題は、中心国である帝国に1次産業供給地として周辺化されてしまい、その構造が固定化されてしまうことにある。(その国やその民族の特性に起因するのではない。)

面白かったポイント
・イギリスの産業革命は世界システムのうえにこそ成立したのであり、独立自尊なヨーマンの勤勉によって生じたわけではない
・ピルグリムファーザーズという神話。米国も豪州と同じく英国からの流刑民がほとんどだった。これが明らかになったのは歴史学にコンピュータによる統計が導入されてからだった。
・作る作物がサトウキビかタバコかで独立した後の発展に差が出る。サトウキビの農園主は本国にいるだけで、植民地へのインフラ投資はしない。タバコの場合、作物の性質上、現地で生活することが多いため、自分たちにインフラ投資をする。カリブにサトウキビプランテーションを展開したイングランドは発展し、東部アメリカにタバコを展開したスコットランドは低開発化された。

特にサトウキビの項目は薩摩と琉球、琉球と先島の関係に当てはめながら読んだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年12月12日
読了日 : 2019年11月8日
本棚登録日 : 2019年11月8日

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