死刑判決が出るほどの小説とはどういうものかという、ある意味下世話な好奇心から読み始めたけれど、読んでみると素晴らしい文学作品だった。
ここにはカオスがあり、憎しみと裏切りと浅ましさと欲望と気高さと尊厳と自由があり、危ういバランスで両立している矛盾がある。
社会的な差別に怒り苦しむ人々がいて、その人々は同時に社会的な差別を自分のために利用するしたたかさも持っている。
長年の不和と帰郷と挫折と奇跡、裏切りと愛がある。
この小説は人間と人生を、文学に可能な限り忠実に描いている作品の一つだ。
私がもっとイスラム教に詳しかったら、もっと深くこの作品を味わえたのかも。
こんなに素晴らしい作品が、クレイジーな軍事独裁国家のせいで政治的な存在にされてしまったのは気の毒だ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年10月14日
- 読了日 : 2022年10月14日
- 本棚登録日 : 2022年10月14日
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