誰もが他でもなく、自分だけの人生を生きている。
大きな生きづらさを抱えていても。
そして、それはどんなに近い関係だろうと、自分だけのもので決して侵されてはいけない権利のようなもの。
しかし、ともすると医療はその権利を「治療」という大義のもとに奪ってしまう恐さ。更に、支援する立場の人ですら支配的になってしまっていることはないだろうか。
誰かに関わる、誰かを支援する、誰かを支える、そういうことを生業をしている人はその権利を侵してしまってはいないだろうか、奪ってしまうことにはつながらないだろうか、常に問いただし考え続けていく必要があるのだろうと胸にささった。そのうえでその人のもつ強さをいかに引き出すのか。
人が生きようとする力の強さ、存在としての底知れない力強さを感じた。
本書のように生きづらさを抱える人たちだけでなく、
色んな人を大らかに受け止められる社会の受け皿が求められている。それは、社会的なシステムだけでなく、一人一人が成熟したものの見方が必要だと思う。
2006年 いのちのことば社
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ノンフィクション(医療)
- 感想投稿日 : 2016年4月2日
- 読了日 : 2016年4月1日
- 本棚登録日 : 2016年4月1日
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