傭兵部隊―その栄光と孤独

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  • 集英社 (1982年7月1日発売)
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 フランク・キャンパーの傭兵学校はお金を出せば、訓練についていけるかは別として誰でも入れるとは一切書いていない。落合信彦はDDRについて知識がなかったらしいので自称「元NVAのコマンド部隊員」と称する人物の駄法螺を信じたのか、あるいはまだ徴兵制がない時期なのに再々軍備と共に徴兵制が施行されたドイツ連邦共和国と混同して「徴兵された」と創作したのか。この本を信じれば傭兵学校で2週間の訓練さえ受ければ軍隊経験の無い元牧師や元ギャンブラーでも「凄腕の傭兵」になれるようだ。「傭兵部隊」と言っても別にキャンパーが私兵を持っているわけでもないだろうに。ミリシアでもあるまいに。
 F-4ファントムⅡの射出座席から脱出したパイロットはM-16やAR-15などを持っていたそうだ。ゴルゴ13でもまだ描写はまともだ。
 何でも落合信彦は自由レバノン軍のハダト少佐をインタビューした事があるそうだが、その記事を鵜呑みにした読者の手紙を黙殺したとあるのは、せいぜい自衛隊かまだ少なかったはずのフランス外人部隊での経験があったとしても実戦経験などないし言葉も分からないし風習や宗教も知らないような読者が参加したところで追い出されるのが筋だからだろうか。あるいは自称「国際ジャーナリスト」の嘘がバレてしまうからか、ひょっとしたら誰かが上手く言いくるめて自由レバノン軍に参加して「名誉の戦死」でもしてしまったら集英社共々家族から訴えられてしまう可能性があるからかもしれない。わざわざ書くところを見るとそういう手紙がたくさん届いていたようだ。
 自称「元フランス外人部隊員」のソルジャー・オブ・フォーチューン誌の編集者のアメリカ軍での「軍歴」では戦闘経験があるとすればドミニカだけだ。アメリカ軍がタイで誰を相手に戦っていたのか?仮にタイ共産党軍でも時期が合わない。フランス外人部隊はシチリアで1年にわたって訓練するのか?この本を鵜呑みにして毛利元貞は「傭兵に憧れた」そうだが、実際にフランス外人部隊に入隊してから現実を知って驚いたのではないか?フランス外人部隊はジプチでソマリア軍やエチオピア軍を相手に戦っていたのか?本当は徴兵で入隊した事があるにしろ、本当の「軍歴」では虚栄心が満たされないので嘘をついているように見えてしまう。写真ではフランス軍の軍装を身に着けていても周囲の森はジプチには見えないのだが、仮に第13准旅団にいたすれば脱走兵の毛利元貞の先輩だ。

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感想投稿日 : 2023年9月22日
読了日 : -
本棚登録日 : 2023年9月22日

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