◆むむむむむ。高校生を書いても多和田葉子だった。世界とのズレに迷子になるアリスたち。おうちに帰ることのないアリスたち。◆扱う題材は他作に比べ具体的で理解しやすいが、デリケートな国家や性愛などの話題を言葉遊びで扱ってしまうのはやや軽率ではと思われる記述も多い(読んでいて「多和田葉子、チャレンジャー!」と何度思ったことか)。ぱしっと絵になる断片もなくはないのだけれど、ちぐはぐにやっつけでストーリーにしてしまっている感じ。もっと練ることができるのでは。全体的には多和田葉子の良作とはいえないというのが正直な感想。無論、デリケートな話題を言葉遊びとしてだけ用いているのではないけれど、すべての読み手が多和田葉子の心の襞にまで寄り添ってくれるわけではないものね。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
一般書
- 感想投稿日 : 2014年10月25日
- 読了日 : 2014年10月25日
- 本棚登録日 : 2014年10月24日
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