クジラやイルカの話も興味深いけど、やはりジャック・マイヨールという人の生き様が心に残る。最も印象的なシーンは、スキューバダイビングをやらない理由についての問うた時に、「あれはエレガントではない」と答えるところだ。そのひと言に、彼の自然や人間に対する哲学が凝縮されているように感じた。たしかに、写真のなかのジャック・マイヨールは、一見みすぼらしいおじいさんのようでいて、とても「エレガント」に映る。それは、己の肉体一つで海と向き合ってきた誠実さ、真摯さから来ているようにも思われる。
ネットで人物検索をすれば、ここに描かれた姿とは違う一面も持っていたようだし、それが自死という意外な最期を招いたのかもしれない。でも、この幸福な日々の記録も、きっと真実の一部分であったはずだ。矛盾のない人間などいないだろうから。
読書状況:読み終わった
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アウトドア
- 感想投稿日 : 2014年8月18日
- 読了日 : 2014年8月18日
- 本棚登録日 : 2014年8月18日
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