クジラが見る夢 (新潮文庫 い 41-6)

著者 :
  • 新潮社 (1998年3月1日発売)
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本棚登録 : 274
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クジラやイルカの話も興味深いけど、やはりジャック・マイヨールという人の生き様が心に残る。最も印象的なシーンは、スキューバダイビングをやらない理由についての問うた時に、「あれはエレガントではない」と答えるところだ。そのひと言に、彼の自然や人間に対する哲学が凝縮されているように感じた。たしかに、写真のなかのジャック・マイヨールは、一見みすぼらしいおじいさんのようでいて、とても「エレガント」に映る。それは、己の肉体一つで海と向き合ってきた誠実さ、真摯さから来ているようにも思われる。

ネットで人物検索をすれば、ここに描かれた姿とは違う一面も持っていたようだし、それが自死という意外な最期を招いたのかもしれない。でも、この幸福な日々の記録も、きっと真実の一部分であったはずだ。矛盾のない人間などいないだろうから。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: アウトドア
感想投稿日 : 2014年8月18日
読了日 : 2014年8月18日
本棚登録日 : 2014年8月18日

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