2017年、5冊目は、既に今年2冊目の花房観音の官能短編集、『~まつり』シリーズの第2段。6編収録。
今回は各々、簡単に触れておきましょう。
「かにかくにまつり」引用登録した冒頭がまずはイイ。花街に生きる女と、お坊っちゃん上がりの約20年の時を経ての再会は……。
「七夕まつり」年に一度の逢瀬を重ねる、W不倫の男女。男の妻にソレがバレてしまう。他とオチの毛色が少し異なる1編。
「義士まつり」かつての職場の先輩であった男の妻であり、同級生で憧れの女性と、40代独身男の物語。様々な点で、このシリーズでは異色。
「節分まつり」小説家の男は、かつての文芸サークルの後輩をモデルに作品を発表していた。そして、彼女と再会する。この話の前後の男の作品を、スピンオフで書いてくれないかなぁ。
「あじさいまつり」男と、かつての妻、現在の妻の不可思議な関係とは……。コレはやられた。というコトは、おそらく、自分がこの主人公に近い身勝手&鈍感なのかもしれない。
「時代まつり」亡き父の実家の処分に、京都へ赴いた男は、時代まつりの行列の中、ある女性に見つめられた。ミステリーフレイバーだが、オチは想定内。
全体として、前回の官能場面のヴァリエーションの少なさは、やや解消されているし、並びもシックリ。ただし、官能描写は、更にパターン化され過ぎた印象。コレは「あとがき」からの個人的見解だが、もしかしたら、官能描写をパターン化するコトで、その(官能場面)後のエンディング、オチをより印象付けようとしているのかな(?)。
匂い立つような官能場面は健在も、前述のようにパターン化され過ぎて、やや食傷気味。今回はお得意の情念系も控え目。ただし、男の能天気さ、鈍感さ。女のしたたかさ、狡猾さ。が良く出ている。
総合で、★★★★☆評価はややオマケ。
- 感想投稿日 : 2017年1月17日
- 読了日 : 2017年1月17日
- 本棚登録日 : 2017年1月16日
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