刹那主義的にフリーター生活を続ける長女。そんな姉を反面教師にして、高校卒業後に地元の信金に就職した、堅実な次女。2人の仲を取り持とうとする折衷主義の母。
三者三様の女性の日常のちょっとしたトラブルを、スラップスティック調で描いたホームコメディ小説。
ストーリーは、女性3人がお互いをどんなふうに見つめ、分析し、現在に至ったのか。そして、人生初の海外旅行(inグアム)でのドタバタぶりを描くという展開。
物語を通して、【世の中は「是か非か」「イエスかノーか」という単純な二者択一で割り切れるようなもんじゃないんだよ】というメッセージを読み取ることができる。それ故、今作では「3」という、2つで割り切れない数字が大きな意味を持って、随所に現れる。
女性3人であることはもちろん、3日間のグアム旅行、ダブルベッドとエキストラベッドのくだり、チャモロ族の身分の3階層、トリロジー(3連)のダイヤ、そして『グ、ア、ム』というタイトル…。
作者の「工夫」せんという思いは理解できるが、ドタバタ部分が長すぎて、やや悪乗りに過ぎる思いがした。チャモロ族のナイトマーケットでの、感情の爆発・シリアスな展開もいささか唐突だ。
「ユニーク」な作品であることは確かであるが、おもしろいかどうかのツボは人それぞれか。本谷さんの小説群において、本作は僕にとっては外れ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
01.小説
- 感想投稿日 : 2011年7月27日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年7月27日
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