新自由主義の自滅 日本・アメリカ・韓国 (文春新書 1041)

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  • 文藝春秋 (2015年7月21日発売)
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ケインジアン・反自由貿易の立場からの新自由主義批判。日本の財政状況に対し、通説に比して楽観的。筆者によれば、政府債務は、それ自体の額ではなく名目GDPに対する比率により大きさを計るべきとしている。つまり、緊縮財政により赤字債務そのものの縮小させることだけでなく、名目GDPを増大させる財政出動(とそれを支える緩やかな金融政策)も、巡りめぐって財政均衡化に資する政策であるということだ。筆者によれば、前者は歴史的に失敗してきたという(筆者は、大恐慌など極端な例を挙げている)。後者のみが、デフレ脱却と財政均衡化に資すると結論づけている。この考え方は、個人的には新鮮に感じた。
なお、政治的には反・脱アメリカで漸進的な軍拡し、中韓を刺激せず共存…というスタンスのようだ。とにかく、アメリカ脅威の論調(新自由主義を押し付けて富を収奪)が強い。その身近な犠牲者として韓国を扱っている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年6月20日
読了日 : 2021年6月25日
本棚登録日 : 2021年6月19日

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