ブッカー賞受賞はなぜだろう。いや、表現が汚い(口が悪い)からではなく、ぴんとこなかった。俗語・口語を使ったこと自体はうまい。
コロンバイン高校事件を題材にしているというが、それを前提に読み始めないと何のことかわからない。この本を読む人は全員承知のを前提とするのだろうか。最後になって事件が描写されるが曖昧。犯人かつ親友であるジーザスの人物像や動機も薄い。そもそも、語り手である少年ヴァーノンが、口が悪いこと以外キャラクターがない。受け身すぎて、なぜ事件に巻き込まれたのか、母親や少女への感情がこうも屈託がないのか、疑問だった。
銃乱射そのものよりメディアが無実の少年を陥れる、というのが重要なテーマの一つになっているが、有罪演出や刑務所で投票によって死刑囚を決めるなど、マスコミのありようがリアルでないので説得力に欠ける。
現在のライ麦、ホールデン少年と言われているようだが、ヴァーノンからは怒り、フラストレーションが感じられず。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外
- 感想投稿日 : 2015年6月16日
- 読了日 : 2015年6月16日
- 本棚登録日 : 2015年5月22日
みんなの感想をみる