誰かが見ている

著者 :
  • 講談社 (2017年4月13日発売)
3.58
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本棚登録 : 432
感想 : 55
3

★3.5

夫婦にも親子にも恋人にも「裏」がある。
女性4人が繰り広げる極限の心理サスペンス。

不妊治療の末に授かった夏紀を可愛いと思えないのに、ブログで称賛されたいがために、
虚偽の「幸せな育児生活」を書く事が止められない千夏子。
年下の創と結婚したが、結婚した途端にセックスレスになり悩むアパレル勤務の結子。
職場のストレスで過食に走り、仕事を辞めたいが為に婚活パーティで知り合った恋人には
子供が出来たら結婚したいと言われ、子供が欲しくないのにと悩む保育士の春花。
優しい夫と娘に恵まれ円満な家庭を築いている様に見える柚季。

4人それぞれの視点で展開する。
彼女達の夫も恋人もまた裏の顔を持っている。
もつれ、ねじれる感情の渦。
人間の負の感情がこれでもか、これでもかって描かれている。
終始重苦しくって読むのが苦しいのに、これからどうなるのか先が気になって読んだ。
人間の負の感情の描写がとっても上手で、リアリティがあった。

人は皆、何かしら自分の持ってないものを持ってる人を羨んだりしがちだ。
でも人それぞれ、皆、悩んで足掻いて余裕が無かったりする。
悩みを自分の中で抱え込み膨らませることなく、
そして、必要以上に他人を羨むことなく、
今の自分に満足するよう生きていければと思う。

「助けて」と言えない女性達の葛藤の物語でした。
私は、重さに気持ちがどんよりしてしまい評価が少し下がりましたが、
とても素晴らしい作品だったと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: サスペンス
感想投稿日 : 2017年5月20日
読了日 : 2017年5月20日
本棚登録日 : 2017年5月9日

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