山田風太郎の代表作『魔界転生』を、これまた山田風太郎原作の忍法帳をコミック化するのに定評のある、せがわまさきがコミック化した第二巻。
絵は妖艶美麗にして、ストーリーは重厚。だがしかし、話の進みは亀の歩みw
名だたる剣豪のバックグラウンドを丁寧に描いて行ってるから、従来の山田風太郎のスピード感とはちと縁遠くなっている。そこが残念とも言えるし、『あれ?魔界転生ってこんなに剣豪のバックグラウンドを丁寧に描いてたっけ?』とも思える。そういう意味で、山田風太郎原作のものよりキャラの愛憎が際立っていて、深く感じられる。
田宮坊太郎とかこんなにかっこよかったんかい。とか。荒木又右衛門ってこんなに剛毅だったんかい。とか。
転生した剣豪達は強いのは当たり前だけど、ある意味、天草四郎時貞や宮本武蔵の取り巻き化してたのを掘り下げて解釈し、バックグラウンドを広げる試みとしては実に評価できる。
今回は槍の名手、宝蔵院胤舜と柳生但馬守宗矩。そして、尾張柳生の狂犬、柳生兵庫介如雲斎。
それぞれがそれぞれの悔いを抱き、最強を夢見ながら懊悩し、そして朽ちて行こうとする。そんな強きもの共の心に滑り込む魔性。
哀しいよなぁ。やるせねぇよなぁ。などと思いながら、剣豪達の生涯を調べ直してみるのも一興かと。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年6月4日
- 読了日 : 2013年6月4日
- 本棚登録日 : 2013年6月4日
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