怪盗クイーン、かぐや姫は夢を見る (講談社青い鳥文庫)

  • 講談社 (2011年10月8日発売)
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感想 : 63
4

今までほぼ最初から再読していたのは、これを楽しく読むためだった。
キャラをつなげようと思って読んできたけれど、読まなくてもなんとかなったかもしれない。
それにしても、前巻から3年5ヶ月。
小学校高学年で読んでいたら、もう青い鳥文庫を卒業していそうだ…。

ファンタジーだと覚悟していたのでそんなに驚くほどの展開ではなかった。
モナミ2巻を先に読んでいたせいか、宇宙人を予想していたけれど、かぐや姫だったとは…。
非現実的ではあるけれど、伏線が多かったので事故にあったおばあさんの首の問題はなんとなく予想していたので、怖くはなかった。

かぐや姫が強い殺気を放っていたり、強い催眠術を使えるのは人間ではないから。
リミッターの外れたクイーンは結局クイーンではなかったけれど、本物のクイーンのリミッターが外れたら…?
やっぱりあんなのになっていたのかなぁ…。
人間であるジョーカーはともかく、RDが偽物だと見抜けなかったのはクイーンが「今の地球の科学力を越えた技術」で妨害電波を出していたから…。
クイーンが人間じゃなくても、納得出来そうになってくる。

冒頭の、ジョーカーの周りにもいる、強い女性、パトリシア、シュテラ、ローテ。
パトリシアって誰だって…。
パシフィスト…??
じゃないか、誰だっけ…。

誰が、陽炎で、クイーンで、宇宙人?だか、分からないからもう誰も信じられなくて、みんな怪しく見えてきてハラハラした。

コンビニに助っ人として来た水島花子も十分怪しかったけれど、だたの人だったのかなあ、本社の幹部候補生になったくらいだし。
特技の『不定形生物』…。
ただの漫画的ギャグなのか(別人に見える化粧術みたいな)…。
でも、AKBっぽい。

ストーリーとしては、主役クイーンの登場が少なくてちょっと不服。
クイーンがずっと身を潜めていたのもあっていつもの掛け合いが少な目だった。
(最初と最後くらい…。)
ジョーカーと探偵卿が活躍の巻。
話の配分として、2週間前から現在までがちょっと長すぎる、と思うのだけれども…。
ページ数の割にはあまり話が進んでいない不思議。
ツッコミ分が多すぎるのかなあ…。
もう少しスマートに。

エンディングのかぐや姫書き換え版の「さらに、不老不死の薬がないので暇になった怪盗が、味方になってくれました。」
不老不死の薬はなかったのか…??
やっぱり、クイーンは人間かな、と思う。
超人的な人間。

それにしても、最近のクイーンはたまに冷酷な部分が見え隠れするけれど、おちゃらけ部分が多くて、気高い怪盗要素が少ないような…。
あとがきにあるように「かぐや姫」を“めでたしめでたし”で終わらせるための仕掛けと考えればそんなものなのかな。
でも、浦島太郎だって“めでたしめでたし”じゃないと思うよ…。

クイーンは「時間の流れから離れた存在」。
RDもバックアップを取れば半永久的に残る。
ジョーカーだけは自然に年を取っていってしまう…。
冗談なのか本当なのか…。
言っていることは哀しくて淋しいのだかれど、その真偽はいかに。
「今この時を永遠に」というのは、クイーンがどういう存在であろうと筋が通る話だ。
「赤い夢の住人」というのはメタ要素なので、そのあたりでうまく煙に巻いている感じがする。
クイーンはただの人間だけれど、怪盗である、というのが時間流云々の答えなんだろうなあ。
深く考えてはいけない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2013/04
感想投稿日 : 2013年4月9日
読了日 : 2013年4月9日
本棚登録日 : 2013年4月9日

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