十七歳の自閉症裁判――寝屋川事件の遺したもの (岩波現代文庫)

著者 :
  • 岩波書店 (2010年7月17日発売)
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感想 : 11

地裁の判決文に非常に苦労が偲ばれる。ただ、素人判断ではあるが、自閉症というより統合失調症に思えてならない (p.198で否定しているのは解離性障害ではないか?)。[more] そのためなのか判らないが、「人を刺す(ことで死亡する)」と「自分を刺す(ことで自殺する)」の2点が、どこまで一致していたのだろうかという疑問をぬぐえないままとなってしまった。この意味では高裁の「未必的殺意の限界線上」というのが司法の判断だろうか。
厳罰化が社会の要請としてあり更生の場として(少年)刑務所の充実が図られるのであって、弁護人の言う「拡充を持って逆送をしやすくなる」というのは本末転倒の解釈に思える。また、刑務の現状を持って減刑をするのも本末転倒ではないか。
ちなみに、犯行に及ぶ前のセーフティネットを拡充する必要性が最後にとってつけたように書かれているが、それも大事でありその点は他本の方が参考になると思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年12月24日
読了日 : 2012年3月2日
本棚登録日 : 2023年12月24日

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