適菜氏の歯に衣着せぬ記述は,自分自身の反省につながるように感じるので,適菜作品を固め読みしたが,その時期の事例について考察されていること以外はかなり重複している。これは「新しさがない」という言い方もできるが,保守からすれば当たり前ということになる。
本書は適菜作品の中でも入門的な書き方になっていると思う。
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「ただの風景画じゃないか」と思うかもしれないし、ピンとこないかもしれない。でもゲーテがその絵を良いと言ったなら、「その絵を良いと思えない自分のほうがおかしいのではないか」ととりあえず疑ってみる。
そして、「その絵は良いのだ」と決めつける。
良いと思わない自分の目が腐っていると決めつけるわけです。
バカは基本的に自尊心が高く、自分の判断に自信をもっています。だから、それをやめればいい。
その訓練が「ゲーテになる」ということです。
たとえば小学生に現代音楽を聴かせても、あまり面白がらないと思う。メインストリームの知識がないと面白くないジャンルはあります。
それと同じであって、自分の現在の立ち位置に固執しないことです。「もしかしたら自分はバカなんじゃないか?」と考える。そのことにより、はじめて見えてくるものもあります。(p.31)
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
教養-office
- 感想投稿日 : 2023年9月14日
- 読了日 : 2023年10月20日
- 本棚登録日 : 2023年9月14日
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