薔薇の刻印 (SHYノベルス250)

著者 :
  • 大洋図書 (2010年8月30日発売)
4.13
  • (46)
  • (53)
  • (27)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 416
感想 : 25
5

再読。お正月休みに一気読みしました。最っ高に面白かった。面白かった…!!!!
初読の時も一気読みしましたが、新書みっちり2段組の全6冊、読み応えたっぷり、でも一気に読んじゃうし一気に読むのが正解だと思います。というか面白くて読むの止められない。ご本人も最後のあとがきで「今出せるベストの作品」と書かれていますが、その自負以上のものだと思いました。執筆ペース含めて。読んでいて文章からもご本人がのめり込んで書いている熱量が伝わってくるし、それが更に面白さを加速させています。
何がすごいって、BLでこれだけの世界観を作り上げている事ですよね。すごい。基本的にファンタジーって苦手なんですけど、世界観を作り上げた上で必要な部分だけを描いているから無駄がなくて判りやすいし、しっかりがっつりBLなんです。世界観、設定が、きちんとBLを構成する要素になっている。必要不可欠な要素。薔薇騎士と守護者は惹かれ合うもの、だから好きなのか?恋愛感情ではないのか?という葛藤。でもこんな魅力的な相手、好きになるの当たり前じゃない?みたいな、読者にまで感覚で捩じ伏せたような気がする程に、攻2人のキャラが素晴らしいくらいに立っていました。
そう。攻が2人。2人なんです。何がなんでも、どんだけ都合が良かろうと、浮気当て馬モブとちょっとでも嫌な、1人は1人と主義なんですけど、この作品だけは3人が良いです。3人の関係性がとても良かった。馴れ合い3人でハッピー、とかそんなんじゃない。勿論3人とも「3人はおかしい」と最初はずっと抗っていました。だけどレヴィンと啓には約束があった。全て終わったら、レヴィンを殺すこと。いずれ3人は2人になる。だからずっと3人で進んでいくんです。それがもう切ない辛い。面白い。面白いけど、ラウルも好きだけどやっぱり最初に出てきたレヴィンが好きだし幸せになって欲しいのに、通じ合ったはずなのに巻が進むにつれレヴィンは自分を押さえる一方なんですよね。触れる事もしない。もうそれが辛くて辛くて。何十年、一番自分が許せない不死者という姿に堕とされ、絶望の中死ぬことも出来ず、愛を知っても死ぬしかない。辛い。幸せになって欲しいじゃないですか。最後。どんなご都合でもいい、幸せにしてくれと、本気で願いました。幸せが待っている終わりだったと思う。良い終わりだったと思います。最後の見開きのイラストに救われる。
ラウルも好きです。レヴィンとは正反対のラウル。底抜けに明るく、割り切り方がすごい。恐ろしく思える程。それにはやっぱり理由があるわけで。更に残酷な目に合わされてしまう。余りにも残酷な。皆、それぞれに過酷で残酷な中を生きてきて、どこかが欠けてしまって、だから惹かれ合う。それは攻2人、レヴィンとラウルもそうだったと思います。この2人の関係もすごく良かったな。最初はとにかく険悪だった。共に闘う中で、誰よりも何よりも啓が一番、啓の為に、という共通点もあって少しずつ認め合って。戦友、だと思います。
BL以外の話もめちゃくちゃ面白くて!もうほんと読み応えたっぷり。啓の父親、エリックへの周囲の想いと、エリックの真実。同じ事象なはずなのに全く違う。その描き方がすごく面白かった。そうやって描かれていった真のエリックを知った後。指輪の文字には思わず泣きました。だからこそ、未来を知りながら、レヴィンに過酷な運命を背負わせた。「何故」で埋め尽くされた始まりが、1つ1つほどけて繋がってゆく。
薔薇騎士とは、守護者とは、能力者とは、騎士団とは、不死者とは、アダムとは、何なのか。生きるとは、どういうことなのか。そして最後、何故アダムを倒さねばならないのか、に論点を置いたのが意外で、そして面白かったです。
BL関係ない部分増やしてもね、と幻想の間がすっ飛ばされたみたいなんですが、読みたかった(笑) 全然、BL関係ないところもずっと面白くてのめり込んで読んでいたので。

マリアだけめちゃくちゃラノベっぽかったなーと思います(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: BL小説
感想投稿日 : 2020年1月13日
読了日 : 2016年8月11日
本棚登録日 : 2016年8月11日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする