The Kite Runner

著者 :
  • Riverhead Trade (2004年4月27日発売)
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本棚登録 : 125
感想 : 24
5

この本が原作になった映画を見たのが2007年。
あれから随分長い時が経ったけれども、
先日読んだ[A Thousand Splended Sun]が素晴らしかったので
ようやく彼のデビュー作になるこの作品を読む事ができた。
映画も良かったのを覚えているけれども、やっぱり原作は違う!
これがデビュー作だなんてすばらし過ぎる!

A Thousand Splended Sunも根を掘れば軸は家族だったけれども
この本も軸は、家族のあり方、家族の姿だ。

マスターの子と召使の子。
立場は違えど兄弟のようにして育った二人。
しかし、ある事件をきっかけにすべてが崩れていく。
何も出来なかった主人公。
傍観者でいることは時に罪だ。
そしてその罪の意識に耐えられなくて更なる嘘をつく。
崩れてしまった二人の関係。
幼い頃の記憶と現在が行き来する。

アフガニスタンと聞くと遠い国だ。
ニュースや新聞ではいくらでも名前を聞く。
この作品は、アフガニスタンの歴史や民族や文化に触れながらも
描かれているのは家族愛。扱っているのはそこで生きる人々の姿だ。
アフガニスタンの文化はもちろんのこと、移民文化もしっかり描かれている。
アフガニスタン紛争の末、アメリカに亡命した主人公とその父。
”自由"の国アメリカで一から生活をやり直した移民としての二人の暮らしぶり。
それもまた興味深い。

少しずつ明かされていく真実が、波のようにじわじわと押し寄せてきて
本当にもう素晴らしい!
親子2世代で犯した罪と懺悔。
人は生きていれば幾度も間違いを犯すだろう。
その間違いと向き合っていくには、そして償いとは……。

これで、この人の作品2冊とも読んだけれども
まだ3作目は出ていない模様。
すっかり大ファンになってしまったのでこれからがまた楽しみでしかたない。

A Thousand Splended Sunとあわせて絶対お勧め!!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2011年4月12日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年4月12日

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