病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘 下

  • 早川書房 (2013年8月23日発売)
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感想 : 34
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癌と人間の壮大な歴史。上下700㌻と大部だが様々なエピソードを織り交ぜて退屈しないし,しっかりした通史として学べるので時間をつくっても読む価値がある。
下巻では癌の予防の発見,癌のメカニズムの解明,そして分子生物学の進展による分子標的薬の獲得を扱う。
医療といっても科学や技術一辺倒でないのは,人々の高い関心やどろどろした既得権益を反映していて,上巻同様政治運動の側面も見逃せない。強い発癌性が発覚した煙草をめぐる論争や,新薬を切望する末期患者たちによる「悠長な」臨床試験への批判,目覚ましい効果を挙げた化学療法が幻と消えた論文捏造事件などが読みどころ。
高齢化が進みより癌への関心が深まる中で,これからも様々な物語が語られるだろう。中にはこれまでの癌研究の流れや基本的な事実をねじ曲げるようなものもあるだろうが,そういったものへの免疫をつける上でも本書は役立つに違いない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 医療
感想投稿日 : 2013年12月29日
読了日 : 2013年12月27日
本棚登録日 : 2013年12月27日

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