インフレ不可避の世界

著者 :
  • 明日香出版社 (2022年3月11日発売)
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本棚登録 : 103
感想 : 13

澤上さんの見立てでは、現在の株式・債権市場は超割高。すぐにでも株や特に債権は売却し、現金に換えておくことを強く推奨している。何よりもリーマンショックからコロナ下の現在に至るまでの、世界的な超金融緩和製作が近々金融市場に大きな混乱をもたらすと断言している。日銀によるETFの買い支えについても大きな懸念をもっている。”日銀が豪腕でもって市場機能を叩き潰してきた咎だ”確かに全くその通りだと思うが、暴落が何時発生するのかは誰にも解らない。著者は日本国債の暴落懸念を10年くらい前から警告している。ここがなかなか難しいところ。
新しい目線として今まで年金資金が世界中の株を大量に買ってきていた。しかし年金資金はこれから支払いが急増し残高は現象にむかう。大口の買い手が減ってしまうのは確かだ。
ESGもSDGsにも辛辣。長いこと株式投資をしていた人なら覚えているだろうが、以前にSRI投資がもてはやされたことがあった。私も実に馬鹿馬鹿しいと感じていたものだが、SDGsも一緒。自慢気に社長とかがあの虹色◎バッチをつけて、どうだおれはこっちも考えているんだぞとばかりに雑誌やテレビに出ている。そんな会社には投資することはないという細やかな抵抗を試みている次第。
さわかみ答申自体はどうか。現在の基準価格は3万円と20年で3倍となっている。でも設定から10年以上たっても基準価格は1万円のまま(途中2万円までつけたが)だった。上昇したのはやはりここ10年で3倍になっている。昨今キャッシュポジションが増えたかというとそうでもなく、7年前と同水準の15%位。もっともほぼ日本株だけでこの成績は良い方ではあろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年9月7日
読了日 : 2022年8月22日
本棚登録日 : 2022年3月31日

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