ザ・フォール/落下の王国 特別版 [DVD]

監督 : ターセム 
出演 : リー・ペイス  カティンカ・アンタルー 
  • ワーナー・ホーム・ビデオ
4.00
  • (195)
  • (182)
  • (136)
  • (25)
  • (3)
本棚登録 : 1194
感想 : 217
3

映画のスタントマンであるロイ(リー・ペイス)は、撮影で橋から飛び降りてケガをし、入院する。それが元で脚が動かなくなった彼を、さらに不幸が襲う。恋人を俳優に奪われたのだ。絶望したロイは自殺を考える。

一方、小児病棟には、ルーマニア移民であるアレクサンドリア(カティンカ・アンタルー)という5歳の女の子が左腕を骨折して入院している。

あることがきっかけでこの2人は知り合う。
ロイは自分が作った物語を聞かせることでアレクサンドリアを誘導して病院の薬棚からモルヒネを持って来させ、それで死のうと思いつく。

しかし少女もただ耳を傾けているだけではない。彼女にも理想の物語があり、ロイのお話をたびたび軌道修正しようとする。
そうこうするうちに2人の物語のせめぎ合いとなり、アレクサンドリアはある出来事を機に、ロイの後ろ向きな物語を、自身の物語で期せずして救い出そうとするのだった。

なんてセンチメンタルな物語!
と思ったのはさておき、アレクサンドリア役のカティンカ・アンタルーの朴訥としたかわいらしい振る舞いと発言がなんとも微笑ましかった。ただ、このセンチメンタルな物語展開のせいで、後半は彼女が窮屈そうに演技していたのは残念。

たぶん本作がいちばん力を入れているのは、2人が語る物語の再現映像だろう。なんか5人(だっけ?)登場人物がいて、なかにはあのチャールズ・ダーウィンも混じっている。最初ちょっとわくわくし、じきに何だこれと思い始め、最後まで何だこれ、だった。

まあとにかく映像の美しさを売りにしたかったのだろう。確かにハッとさせられる映像もいくつかあったけど、なんというか、つるんとした映像美。引き合いに出して申し訳ないけど、クリスチャン・ラッセンの絵の、あの品のない美しさに近いものを感じた。

後半はもう完全に白けまくっていたのだが、無声映画の上映シーンでちょっとほろっとさせられ、バスター・キートン映画のスタントシーンが次々と引用されたところでちょっと泣いてしまったのが意味もなく悔しい。本作とはまったく関係がないのに。
観終わった結論は、バスター・キートン、やっぱすごいな、だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: DVD
感想投稿日 : 2022年5月20日
読了日 : 2022年5月20日
本棚登録日 : 2022年5月20日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする