毒親介護 (文春新書 1240)

著者 :
  • 文藝春秋 (2019年11月20日発売)
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感想 : 15
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 一緒にいて子供に悪影響を与える毒親を介護するようになった場合、どのように対処すればいいのか。豊富な事例とともに紹介してくれる1冊だった。
 毒親とは、単純に子供に対して暴力や暴言を与えていた親だけではなく、子供のやることに過干渉だったり、自分の老いを盾にして負担を強いてきたり、肉体的・精神的・経済的に子供に悪影響を与える親全般を指している。
 嫌いな親であれば見捨てればいいと思ってしまうが、大嫌いだったからこそ最後に自分のことを認めてほしい、愛してほしい、そういった感情を抱く子供も少なくないようだ。
 具体的な介護で苦労している人の話は読んでいて、こんな親なのによく介護する気になったな、と思うものが数多く紹介されていた。
 介護をするにあたって頼れる機関やサービスがあること、認知症や老いによる変化への心構えがあるのも良かった。
 一番重要だと思ったのは「親を『捨てる』」選択肢があるということだ。第6章の最初の数ページでしか紹介されていないが、あまりにも親が酷い場合は、見切りをつけることも大事というのは新鮮な考えだった。ただ、親と縁を切る場合、ちゃんと行政に引き継いでおく必要があることも覚えておいた方が良いだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 活字
感想投稿日 : 2021年8月13日
読了日 : 2021年8月13日
本棚登録日 : 2021年8月13日

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