わたしたちの島で (岩波少年文庫)

  • 岩波書店 (2014年5月17日発売)
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本棚登録 : 105
感想 : 10
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その島は生きる喜びに満ちている。

父のメルケル、一家の母代わりの長女マーリン、ユーハンとニクラス、そして心優しい末っ子のペッレ。ストックホルムっ子のメルケルソンがウミガラス島に避暑にやってくる。古いが感じのいいスニッケル荘、隣に住むチョルベンとその飼い犬である水夫さん、動物たち。ウミガラス島で出会うすべてがメルケルソン一家を惹きつける。

島の暮らしがいきいきと描かれる。メルケルソン一家が主人公かと思いきや、チョルベンにもかなりのスポットライトが当てられる。この生きるエネルギーに満ちた少女を好きにならずにいられない。時々挟まれるマーリンの日記も魅力的だ。自然と共に生きる喜びが素直に綴られている。ペッレの心の動きは誰もが経験したことのある喜び、悲しみ、怒り、恐れである。動物の命を慈しみ、家族に守られることに満足し、将来を夢見たり不安に思ったりするペッレはとても愛おしい存在である。

ストックホルムの人たちは夏になると島に避暑に行く。夏の太陽の陽射しを求めて北極圏の長い昼間を楽しむ。この物語は明るく読者を照らす光の物語である。このような物語の光をどんどん取り込みたくなる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 949: その他のゲルマン文学
感想投稿日 : 2021年11月6日
読了日 : 2021年11月3日
本棚登録日 : 2021年11月6日

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