優等生サバイバル: 青春を生き抜く13の法則

  • 評論社 (2023年7月4日発売)
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感想 : 10
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不安と希望と、憧れ、夢、勇気。

進学校に通い始めた高校1年生のジュノ。父母は田舎にいて、叔父さんと暮らしている。中学からの友人ゴヌ、討論サークルの仲間であるユビンやボナ先輩、突っかかってくるビョンソ、元アイドル候補生のハリムなど様々な人と近づいたりぶつかったりしながら、気持ちは揺れ動く。勉強のプレッシャーに振り回されながら、自分の姿を見つめていくジュノに、読み終わったらこちらの心も清々しさでいっぱいになる。

何のために勉強するのか。よい大学に入るためか。自分の道を歩いていくためだ。トップ30のみ利用できる正読室の雰囲気に当初圧倒されていたジュノも、中間テスト頃にはすっかり慣れている。また成績が落ちて正読室から追い出されたらどうしようと不安になる。一時期ジュノは転校まで考え始める。プレッシャーに負けそうになって。そんなジュノを温かく迎える父母。ジュノとゴヌをつかず離れずの距離で受け入れてくれる叔父さん。自分のやりたいことのために転校を予定しているユビンや、親の方針に少しずつ反抗しているボヌ先輩。固定された価値観に縛られるビョンソや、他人の視線に振り回されるハリムにマイナスの気持ちを抱きながら、ジュノは自分の道を歩く勇気を持ち、勉強する意味を見い出す。するともう正読室にいる必要もなくなり、父母に遠慮していた塾は必要な数学のみ通いたいと言えるようになる。

勉強へのモチベーションをキープすることや毎日を息苦しくしない方法は、なかなか今でも常時実践できていない。他人の視線に気持ちが負けたり、不安が心を支配することもしょっちゅうだ。でもできる限りは自分をそのまま好きになり、自分のしたいことに時間を使いたい。そんな気持ちの支えになるような物語だった。

ビョンソ視点の物語も読んでみたくなる。ジュノの中で一番理解できない存在だけに、語られていない部分が多そう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 929: その他の東洋文学
感想投稿日 : 2024年4月27日
読了日 : 2024年4月27日
本棚登録日 : 2024年4月27日

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