動物を保護することそれ自体は、素晴らしいことだと思うが、どこか商業的であったり、偏りがあったりする点が否めないのが、現代の動物保護の問題点なのかもしれない。
この本は、そんな「偏りのある動物保護」を「快楽としての」という批判をしていて、シートン動物記から、写真家・星野道夫、そして、一時話題となった『ザ・コーヴ』の3点から考察していく。
一見、あまり関連性のない3つのテーマだが、話が進むにつれて、一つにつながっていく展開が、なかなか面白い。
(P358)『多様性を大切にする発想とは、多様なものの中には自身の嫌いなものも含まれているという事実を認めてそれを引き受けることだ』
本を含むメディアの情報は、全て切り取られた自然であり、自然そのものを体感することは難しくなっている。
「動物を守ろう」という運動は、その動物の、かわいさだとか、人懐っこいところだとか、そうしたアイコニックな部分が強調されるのはある意味では仕方がないのかもしれない。
「全て」を掬い取ることは難しいが、少なくとも一度は目を向けてみる必要性があることを、今後も忘れてはいけないと感じた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年5月20日
- 読了日 : 2022年5月19日
- 本棚登録日 : 2022年5月16日
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