そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。 仕事の「直感」「場当たり的」「劣化コピー」「根性論」を終わらせる

制作 : 今井誠  坂井豊貴 
  • 日経BP (2022年4月21日発売)
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感想 : 25
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安田洋祐氏や坂井豊貴氏ら経済学者による執筆であり、豪華なメンバーだなと期待して読んだが肩透かし。一編一編が浅くて物足りない。しかし、残念だなと思うと、後半、会計とESGを開設する上野雄史氏あたりから盛り返す。また、坂井豊貴氏の二編目「ダメな会議…」の話も面白い。差し引きで星三つという結論。

結局、知らない事を知りたくて読書をするので、知っていることが多かったり、内容が薄いとガッカリするという話。その点後半はよく理解できてない内容が多かったから満足感が得られた。

下記のような内容である。

上場企業の行動規範を定めたコーポレートガバナンスコード。2021年改訂①取締役会の機能発揮②企業の中核人材における多様性の確保③サスティナビリティをめぐる課題への取り組み。このタイミングで、コーポレートガバナンスコードが企業に対しESGへの取り組みを強化することを義務づけた。こうして有価証券報告書にESGの取り組みを記載する企業が増えた。

以降、ますます財務情報と非財務情報の2つの評価軸で企業評価が行われる。有価証券報告書ではなく、非財務情報も含んだ統合報告書、サスティナビリティ報告書など、ESGレポートへ。

更に、国連が推し進める責任投資原則。2006年に当時の国連事務総長コフィーアナン氏が金融業界に向けて提唱した国際イニシアチブ。責任投資原則とは①投資分析と意思決定プロセスにESGの課題を組み込むこと②活動的な株式所有者となり、株式の所有方針・所有慣習にESG問題を組み入れること③投資対象の主体に対してESGの課題について適切な情報開示を求めることなど、ESGへの本気な構えが見える。

坂井豊貴氏の箇所では、ニコラ・ド・コンドルセの陪審定理について。現代の社会科学は数学を多用するが、そのアプローチを切り開いたのがコンドルセ。フランス革命直前の時代に数学者として頭角を現し、数学による投票制度の分析を推し進め、政治にも関わった人物。彼が示した陪審定理は今も社会科学の金字塔。個人の判断よりも、集合知が優れている論拠を示す。

株式市場がいかに変わったか、そこに向き合う企業のあり方、社会における人間の意思決定について考えさせられる読書だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年8月22日
読了日 : 2024年5月2日
本棚登録日 : 2023年8月21日

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