井上靖「北の海」の主人公が大学に進学し、
そこで送ったであろう寝技中心の柔道漬けの物語。
金沢ではなく北海道大学柔道部が舞台となる。
「練習量がすべてを決定する柔道」
来る日も来る日もすさまじい練習が繰り返される。
壮絶で絶望的な毎日。
その積み重ねられる日々に打ちのめされる。
圧倒的な本物を前に自身の陳腐さを恥じる。
覚悟を決め馬鹿になってやらなくては、
1ミリも真実を掴むことなどできないと思い知らされる。
いつか主人公が上級生になった姿を読みたい。
彼はとてつもなく強くなっているだろう。
積み重ねる日々の分だけ、
身体も心もさらに分厚さを増しているだろう。
彼に負けない日々を送りたいと思う。
「練習量がすべてを決定する人生」
そうしたものがある気がする。
中途半端にやっていたのでは見えてこない、
やり切った者だけが知る圧倒的な本物の世界。
ちはやぶる静けさに包まれた研ぎ澄まされた世界。
表面や表層ではなく深いところにある強さと優しさだ。
本当の格好良さとはこういうものかもしれない。
何をもって練習とするか決めなくてはいけない。
読書状況:未設定
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2021年6月1日
- 本棚登録日 : 2021年6月1日
みんなの感想をみる