マリは小説家、ヨンナは版画家。
ふたりの女性の暮らしを切り取った連作。
作者のトーベ・ヤンソンはあのムーミンの生みの親であり日本では児童文学作家として有名だが、彼女がトゥーリッキ・ピエティラという女性のパートナーと生涯暮らしたことはあまり知られていない。ピエティラもグラフィックデザイナーとして活躍した芸術家で、夏にはバルト海に浮かぶ島でふたり、創作に耽ったという。ヤンソンは彼女をモデルにしたトゥーティッキー(おしゃまさん)というキャラクターをシリーズに登場させたりもしている。
こうした背景を踏まえて読むと、一層味わい深い。
マリもヨンナも芸術家らしく自分の領域をしっかり持っている。それが時にはぶつかり合い、時には融け合いながらふたりだけの特別な世界を作っていく。ふたりの会話の僅かなすれ違い、そのなかで時たま起こる共鳴。パートナーシップの一つのあり方としてとても興味を惹かれた。フェアプレイ、というタイトルが彼女たちの関係性をよく表している。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
その他文学
- 感想投稿日 : 2012年11月28日
- 読了日 : 2012年11月11日
- 本棚登録日 : 2012年11月5日
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