ブランドなんか、いらない 新版

  • 大月書店 (2009年8月1日発売)
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感想 : 9
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思った以上の文章量でかなり時間かかってやっと読み終わりました。
邦訳ですが言葉に違和感は感じませんでした。退屈はしませんが、それなりに気合は必要かと思います。読む価値はあります。

主に多国籍企業をターゲットにブランドイメージばっかり作り上げて商品を作ることをまともに行ってない、あるいは途上国に工場おいてものすごい安い給料と劣悪な環境で現地の労働者使ってる企業への批判と、活動家たちの戦いの変遷が主な内容です。

まず最初の問題は、ブランド広告に毒されていない公共のスペースの消失です。公共の空間にすら広告が入り込み企業のマーケティングを助けている現状、そしてそれが学校という聖域にまで及んだとき、人々の反発が爆発する、という歴史が世界各地で繰り返されてきています。
そういった企業は市場の独占を目論んでおり、それにより消費者側の選択権はどんどん狭められているという問題、そしてそのような独占につながるマーケティングを可能にするべく資金を稼ぐのは、間接的に行われる工場労働者への非情な対応が元となっています。そこに潜むのは私たち自身の選択権の問題と、第三国での人権の問題、それらを取り締まる法を逃れるべく、多国籍企業は次から次へと製造国を変えている現実。

市民の草の根の活動は確かに効果があり、多くの多国籍企業に行いを改めさせ、公共の空間を取り戻してきました。それについても多くの事例が示されており、それは非常にポジティブなものです。しかし未だにナイキもマックもリーボックも若者の中でクールなブランドであるのは確かです。」

ブランドに対する攻撃は別のブランドを助けることにもなっている、という事実は一転して市民をがっかりさせるものです、しかしこの問題において大事なことは知り、考え、自分自身で選択をすることなのでしょう。値段もブランド化の一つのファクターでしかないのです。
私が手にしている、この商品はどこでどのように作られ、これを買ったことで誰がいくら儲かったのか?いまやブラックボックスとなっているその問題の答えを、自分なりに考えなくてはならないと感じました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2012年9月4日
読了日 : 2012年9月3日
本棚登録日 : 2012年7月18日

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