誰もが空虚な思いを抱える都会で、突如心を持ったラブドール、のぞみ(ペドゥナ)が主人公。
レンタルビデオ店の店員の純一くん(井浦新)がもう一人の主人公。
撮影は東京の下町エリアですね、馴染みのある場所でした。
空気を入れて膨らんだりしぼんだりするラブドールでありながら、心を持ったのぞみは、空っぽな人たちと接しながら、恋をする。ふと事件的に穴が空いて、空気が抜けてしまう。それを見て純一が穴を塞ぎ、空気を吹き込むシーンがとても官能的。
是枝監督は原作の上記ワンシーンを映像化するために撮ったという。
ストーリー全体としては、結構突っ込むどころが多い。心を持ったのぞみは空気のように中身がないか、というとそういうわけではない。言語を理解し、キラキラ光るものを好み、共感し、働くレンタルビデオ店で、徐々に映画への知識をつけていく。周りの人には不思議な子、という程度で受け入れられ、恋愛までする。それでも、持ち主である中年男性・秀雄には途中、自ら打ち明けるまでそれには気づかれない。
最後に、のぞみは秀雄のもとを去り、純一のところへ向かい、破滅的なラストを迎える。
時々出てくる過食症の星野真里や、やっていない凶悪犯罪を告白する老婆や、公園に佇む元非常勤講師の老人には、救いらしいものは与えられない。秀雄は新たなラブドールを迎えつつ、飲食店で理不尽にこき使われる日々が続く。結局、彼らの空虚な日々は続き、救いもない。
面白かったか、と言われると、よくわからない。
正直ペドゥナの演技で色々許され、成り立っている映画だと思う。
- 感想投稿日 : 2019年7月26日
- 読了日 : 2019年7月22日
- 本棚登録日 : 2019年7月22日
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