東大式 アイデアがいままでの10倍出せる思考法: 面白いことは「技術」で考え出せる! (知的生きかた文庫 な 42-2)
- 三笠書房 (2020年7月22日発売)
タイトルはなかなかキャッチーだがそこはスルーしつつ、読んでみた。
失敗学、工学部的というわけではないのだが、著者の別の本は途中で辞めてしまったことをあとで思い出しつつ。
至って内容は発想法というか、考え方の視点を提示しており、秀逸といえる。そういう意味でタイトルに嘘はない。
発想は技術であり鍛えられるので、技術でないと思いこんでいる人は本書を手に取りようがないが、そこをなんとかというところか(笑)
いくつか面白い発見があったが、簡単にまとめると、
・ひらめきをそのまま形にできると良さそうだが、言語化によって表出する時点で詰まることがありそう。ひらめいた概念をそのままビジュアルに出すとか、補完出来たりするのもありだろうなと。 P.102-103あたりの話。
・逸脱を恐れないのは大事。いわゆるアブダクションみたいに仮説的推論といえばいいっぽいが、どんどんずらしていくこととなる。そういう発散を楽しむ心はもちろんで、ずれていってもそこを受け入れられるかは常に問われる。多くの人はそれができないのかもしれない。
・理系は文章が苦手かもしれない。意外だったのは著者がイメージ優位だったという話がある点。みかんが3つあってりんごが2つあって、あわせていくつ?という時頭に何が浮かぶかということ。認知特性もあると思うが、このあたりの何を優先したり、最初に出てくるか、何で思考するかは非常に興味深い。これを詰めていくと、多分アウトプットは抽象的だけど、実は頭の中では具体的なイメージが動いているとかはかなりありそうだなと。理系ってイメージが苦手だと思い込んでいたのでこれは思わぬ発見だった。
・アイデア力があるとは、実行して形にするというところまでを含む、みたいな話があったと思っていて、それはその通りだと思う。ここに行動力とか、形にしないと価値がないというのは常に言われやすいが、アイデア力=アイデアを出して形にする、とまとめるととてもしっくり来るしそうでありたい。
・金融と将棋は一緒かも。例えば金融で金利政策や金利変動から株価が変動し、市場、ビジネスに影響を受けて、市民生活にもーというくだりはこじつけもありえるが、将棋のように様々なパターンをいくつかピックアップして取り上げて考える、であろうことと、紐づくのではないかと考えた。次の一手が分からないとか、または他の手がなくても他にありえるとか、スマートに次の施策が考えられるとかもそう。
・エンジニアとデザイナーは思考が逆。簡単にいえば、傘をどう作るかがエンジニアで、デザイナーは傘をどう使ってもらうかを考えるみたいな。もちろん明確な区分けはないが、エンジニア思考でハマるパターンは作るまでがゴールでそれを使ってもらう人の絵がなかったりする。もちろんデザイナーは作ることができないなら作れないのだけど、作る絵を思い浮かべられるので違ってくると。どちらがいいとかでもないが、当然ハイブリッドにある方が良さそう。
- 感想投稿日 : 2023年1月18日
- 読了日 : 2023年1月18日
- 本棚登録日 : 2023年1月18日
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