いくら漱石が写実主義と浪漫主義の両者の内在性を、漱石以後の画期的な文学理論、それも西側の理論『ロシア・フォルマリズム』的に見破っていた、と言及したとして、漱石のテクストが更新されたわけではない。漱石のテクストを読み替えることができるのは実に野蛮だ。曲解も誤解も恐れずに、読む。バルドは作者の死と呼んだが、既成のテクストを読み替える野蛮な理論は常になにかの胎動をもたらす。たとえ、自爆に値する代物だとしても。
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- 感想投稿日 : 2007年1月15日
- 本棚登録日 : 2007年1月15日
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