愛されなくても別に (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2023年7月14日発売)
4.03
  • (42)
  • (58)
  • (23)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 797
感想 : 38

闇が深ければ深いほど、光は強く見えるように、
どうしようもなくどん底に生きる二人が、眩しい。

痛いほど救いようのない状況下に置かれ、
必死にもがきながらも突き進む。

雨に野垂れ死んだら、
その後に雨が止んだかどうかなんて
知ったこっちゃない!
だから、いろんな選択をしてもいい。
自分で選んでもいいんだ。
それが生きる術となるならば。

「愛されなくても別に」
タイトルと同じこの台詞が
ページ上に出てきた時、
そんな台詞が生み出された過程を思って、
泣けて仕方なかった。

だけど読後に射す希望が、
その台詞の続きを生み出す。

「愛せたらそれでいい」
愛するなんて言葉、
二人にはちょっと大袈裟かもしれないけれど、
幸せになってほしい、と互いに想い合う、
そんなささやかな愛が、
その先への一歩一歩に続いていってくれることを
願わずにはいられない。

なんだかどうしようもなく、愛おしいんです。
この二人の背中を押してやりたくなるようでいて、
本当は自分が背中を押してもらっているのかもしれない。

みんなも出会ってほしい。
宮田と江永に。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年8月28日
読了日 : 2023年8月28日
本棚登録日 : 2023年8月28日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする