ディアスポラ (2) (ウィングス文庫)

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  • 新書館 (2002年5月1日発売)
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感想 : 1
5

だんだんハードになってきた。

 この話は主人公の成長というテーマを軸に、精霊の正体・陰謀という謎が入っている。

 そこに噛むのが、一巻からずっとあざとく出ている「魔法使いの狂気」だ。

 魔法の源である精霊は人間につく。そして魔法の原動力となるのだが、彼らは人間のネガティブな感情を嫌い、それが度を越えると去ってしまう。しかしながら、精霊は人間の狂気は理解しない。それはマイナスな感情であるとは思わないのだ。

 狂気に陥った魔法使いは精霊を統制しなくなる。狂った魔法使いについた精霊は契約者を持たないフリーの精霊を呼び込んで大災害を起こす。

 この世界では魔法使いは狂気に陥りやすい、と言われる。



 樓主はこの巻を読んで、その理屈がわかった。

 精霊を失いかねないマイナス感情を持った人間には、もう精霊しか残ってないわけだ。他にも大事なものが残っていれば、なんとかしてプラス変換させるように、魔法学校で仕込まれているわけだから。

 で、唯一の精霊が去ろうとする。

 でも精霊はそんな彼や彼女に言う。

「嫌なことは忘れちゃえば」

 もはや唯一のものである、精霊をなくしたくない魔法使いは頷く。

 そして、記憶を全部なくした魔法使いは、統制だの倫理だの、一切なくすから。

「狂う」わけだ。

 いやはや。

 魔法使いが狂いやすいのは、当たり前だ。

 精霊がマイナス感情を嫌って去るという、このシステム構造事態が、狂気の大元なわけだよ。一度去ったらどうやら戻ってきてくれないようだし。

 三巻の展開が楽しみだ。

(一方的に謎解きして終る。これから読む人ごめんね♪)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF・ファンタジー
感想投稿日 : 2008年8月26日
読了日 : 2008年8月26日
本棚登録日 : 2008年8月26日

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