【作品紹介】
警察組織の暗部を知る者として、エリートコースから新宿署生活安全課へと左遷された鮫島警部が、新宿にはびこる犯罪に挑む長編刑事小説『新宿鮫』。1作目で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞を、4作目『無間人形』で直木賞を受賞し、ハードボイルド作家、大沢在昌の地位を不動のものとしたシリーズである。
第5弾となる本書は、外国人マフィア間の抗争、ラブホテル連続放火、売春婦連続殺人という、同時期に発生した3つの事件を鮫島が追う設定である。巧みな場面転換と鬼気迫る犯人たちの心理描写が物語にスピード感と臨場感をもたらしており、シリーズの中でも特にエンターテイメント性に優れた作品であるといえよう。加えて、これまで単独で行動していた鮫島が、今回はチームを組んで捜査する点が新鮮である。相棒となるのは甲屋(かぶとや)という名の農水省植物防疫官で、彼は南米から持ち込まれた稲の害虫「フラメウス・プーパ(火の蛹)」の付着したワラ細工を探していた。その所有者が、鮫島の追うイラン人マフィアの情婦だったのだ。ほかにも、東京消防庁予防部・吾妻や新宿署鑑識係・藪ら、職人魂をもった魅力的な男たちが登場する。彼らのプロフェッショナルな仕事ぶりがつづられているからこそ、陰惨な事件を扱った刑事小説でありながら、爽快な読後感が得られるのであろう。
【感想】
当シリーズ相変わらずの一気読みで、出張中の3日間で読了。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
警察小説
- 感想投稿日 : 2017年4月24日
- 読了日 : 2017年4月21日
- 本棚登録日 : 2017年4月24日
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