TV版ラストは、人の(特に若者の)自我喪失への恐怖とその安穏さ、その両者の葛藤を、シンジ目線で映像にしたらこうなりました、という印象(という意味で、「使途」はウルトラマンにおける怪獣と同じく、物語の緊迫感を出すなど演出効果を上げるための小道具に過ぎない。その存在理由や必要性を解釈すべきものではない)。
また、旧劇場版は、TV版の視聴者への解釈丸投げを多少なりとも解消しようとした作と感じていた。そして、本作はその解釈の枠を規定しようと意図したという印象は益々亢進した。
そもそも、シンジで描かれた如く、人間の自我とその境界の揺らぎは物語のテーマとしては頻出。それを、母を基点とする父子の三角関係と、思春期の女性への憧憬(性的なものを含む)とを混ぜつつ、自我の揺らぎとその克服を濃密に描いた一品と言えそう。
しかも、この漫画版はその克服により焦点をあわせた感じを強く持つ。
それゆえ、アニメ版よりも明快さとカタルシスを感じられる作風になったのではないか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
マンガ
- 感想投稿日 : 2017年1月1日
- 読了日 : 2017年1月1日
- 本棚登録日 : 2017年1月1日
みんなの感想をみる