下ネタという概念が存在しない退屈な世界 (ガガガ文庫)

著者 :
  • 小学館 (2012年7月18日発売)
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本棚登録 : 347
感想 : 32

ネタバレ 確かに下品な表現(というよりキャラクターの台詞)がてんこ盛りだ(悪い意味ではないよ)。そして、構成は粗削り(殊に谷津ヶ森お宝争奪戦の展開)と言わざるを得ない。しかし、表現行為とはどういう社会において充全化しうるか、その自由が真に価値あるものとなりうるにはいかなる条件を要するかという抽象的なテーマに昇華させると、本書の描くディストピアの恐ろしさを感じずにはいられない。もちろん、そういうお話は「華氏451度」等でも描かれるが、エロとギャグの力技で一気に駆け抜けさせる本作はそれはそれで十分価値ある一品かと。
◆構成の粗を述べてしまったが、1頁目の時岡学園入試問題の内容で、本作の世界観を一気見させ得た点は別儀。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2017年1月24日
読了日 : 2017年1月1日
本棚登録日 : 2017年1月1日

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