1991年の湾岸戦争における日米間の交渉の帰趨・顛末について、関係者からのリサーチをまとめた労作。いわゆる多国籍軍による国際紛争の武力解決に対する日本のスタンスや、どのような法改正・準備が必要であったかが事前に全く想定・議論されず、日本政府の危機管理のお粗末さをこれでもかと暴きたてている。さらに、旧大蔵省と外務省の二元外交による弊害を、戦前の軍と外務省の二元外交に見立て、失敗に学ばない(失敗を認めない)日本の官僚制度を痛烈に批判する。加えて、省に情報が集まるが、国に情報が集まらない実情を嘆く。
このような全体の構図からみれば、「テヘラン発緊急電」「ダマスカスの小野寺電」「城田外交官による米国外交官保護」といったスマッシュヒットが、霞んでしまう実情に暗然とする。
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ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2017年1月14日
- 読了日 : 2017年1月14日
- 本棚登録日 : 2017年1月14日
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